お待たせ。さーて、小物はどーれだ?
言わずもがなです。左隣のページと比べて、違いは一つしかありません。
右手に持ってるのがそれ。うちのサイトでは初めてな、完全架空の銃。映画「ブレードランナー」に登場する通称デッカードブラスターです。
「ブレードランナー」はご存知ですよね。あまりに有名な作品なので、初歩的な説明はしませんよ。
わたしがこの映画を初めて観たのは大学生の頃。国内での初回公開時にはまだお子ちゃまだった為、映画が封切されたことさえ知らなかったものの、大学でSF研究会に入部し、SFな奴らに囲まれたわたしが、ブレードランナーを認知しない筈はありませんでした。
ヤラレました、完全に。ハートを鷲掴みにされた、という在り来りすぎる表現がぴったりなほど。
ビデオを繰り返し観たのは勿論、SF研究会で監督した自主制作映画に、ブレードランナーを意識したカットを入れたり、効果音をそのままパクッて使ったり。
脱線してしまうけど、どうしても書きたくなったので、その監督作のことも紹介しちゃいます。
タイトル : 「BIG BATTLE<予告編>」
あらすじ : 以下、映画パンフレットより。
2205A.D. 人類は銀河系中央部で知的生命体との接触に成功。地球連邦と異星人との関係は平和的に始まる。二年後、第七次連邦派遣隊が突如消息を絶つ。事件直後、宇宙軍参謀クローリー中佐は、司令部に呼ばれ、異星人側が密かに戦争準備を整えていることを知らされる。
「いま戦えば、地球は滅びる」−−−それが政府首脳の考えであった。
クローリーに与えられた命令は、異星人側の意図を探り、戦争を回避すること。彼は連邦保安局情報部のモリタとコンビを組み、活動を開始する。
しかし、かねてから異星人側の植民星に目をつけていた財界トップ達は軍の一部と手を結び、開戦強硬論をぶち上げる。恒星さえも破壊しうる超巨大戦艦の完成を待って奇襲をかけるというのだ。
風雲急を告げる情勢の中、連邦の前進基地へ飛んだクローリーとモリタは、そこでワープアウトしてくる六千隻の異星人艦隊に遭遇する。

はい、以上。観たくなった?






わたしがブレードランナーを好きになった理由は、ストーリーとビジュアルに惹かれたから。
なんか当たり前過ぎてごめんなさいね。ストーリーとビジュアルのどこにどんな特徴があったかは、これまで幾千幾万のサイトやブログで語られてきたので端折ります。わたし、別に幾千幾万のかたがたと異なる特殊な見解を持っている訳ではないですし。
デッカードブラスターについては当初、正直入れ込んではいませんでした。
威力すごいですやん、レイチェルも撃ってますやん、電飾付いてますやん。
という程度の感想。
それが、映画を繰り返し観続けるうち小道具にまで目が向き始め、社会人になって銃への関心やトイガンの収集が解禁になったことで、ブラスターに対する興味も跳ね上がった、というところかな。






ブレードランナーの世界って、暗くて湿っぽく、未来的でゴシックで怪しい東洋満載という、ごっちゃあとした魅力溢れるもの。その構築にはデザイナーであるシド・ミードの貢献が大でした。
劇中のデッカードブラスターもこの世界にばっちり嵌っていて、「シドさん、銃でもええ仕事しはりましたな〜」と言いたくなるところですが、実際にはさにあらず。
シドさんが提出したデザイン案を、監督のリドリー・スコットが、未来的過ぎるという理由で却下。
その後、あれこれあって銃の製作が遅れに遅れ、「もう撮影始まっちゃう、やべーからお前なんとかしろ」とリドリーさんから指名されたのが、小道具主任のテリー・ルイス。
「えらいこっちゃ。どーしよ、ほんま」と、ルイスさんがブツブツ言いながら銃砲店を廻って、目にとまった銃をもとに作ったのがデッカードブラスターだったのです。
だいぶ脚色してますけど、ウィキペディアを見ながら書いたので、大筋ははずしていない筈。






現場叩き上げの職人が、兎にも角にも監督のイメージを満たす為に、実銃を改造し、現物合わせで部品を組み上げて製作したプロップガン。それ故、銃に関する仕様書や設定画なんてものが存在しません。内部構造、作動原理など全てがナゾー。究極の、”形から入ればいいやん”の例じゃないですかね。
劇中での描写からすると、デッカードブラスターって普通に実体弾撃ってるように見えるのですけど、なんにも設定がない以上、銃口から何が出ているかは、脳内補完しまくることも可能。
SFな銃としてこれほど面白い素材はないですね。なので、”わたしが選ぶこんなモノ撃てたらいいな案”を挙げておきます。
(1)キャスターの弾・肆番
TVアニメ「アウトロースター」の主人公ジーン・スターウインドが使う古式銃(キャスター)用の弾丸。キャスターが撃てる弾は十種類以上あって、それぞれに古式魔術の術式が籠められている。肆番の弾はそれらの中でも最強力なもののひとつ。
ブレードランナーの製作にあたり、「ブラックホール・ガン」という構想があったんですって。
真っ黒なビームを発射して、命中した箇所を分子レベルで破壊するというアイデア。
ブラックホールってビームなの!?てな感じもしますが、名称にはまさしく吸い込まれるような響きがあります。
元のアイデアはともかく、わたし的にこの響きにぴったりだと思えるのが、キャスターの弾・肆番なのです。
発射すると、銃口から小さくて黒い球が出てきて、敵の目前で停止。一瞬後、どんな強力な敵であっても黒球に吸い込まれてしまう、と。これこそ、ブラックホールじゃあーりませんか。
(2)平成版ガメラのプラズマ火球
ブラスターという言葉を聞くと、わたしがこれまで得た知見からして、熱線銃という訳が浮かんでくるのだよね。
とすると、デッカードブラスターにも熱いものを吐いて欲しい。ただ、レーザーみたいな一本筋の光線だと迫力が無いし、見た目もいまいち。そこでガメラの火球。連射も可能。
BONFUUU!という重低音な発射音で飛び出した火球が命中すれば、敵は大爆発。
通常のプラズマ火球が効かない超強大な敵が出てきた場合、ブラスターのあちこちが開いてリミッター解除。射手の生命エネルギーさえ吸い尽くしてウルティメイト・プラズマを発射!!
ブレードランナーは命を代償にして任務を達成するのでした。
(3)重力子放射線
弐瓶勉さんの漫画「BLAME!」の主人公・霧亥が持つ短銃型の武器から放射されるもの。
・機能を表して「重力子放射線射出装置」と呼ばれているが、本来の名称は「第一種臨界不測兵器」であるとのこと。
・重力子放射線の直撃に耐えられる素材は存在しない。
・五段階の威力調節が可能で、最大出力にすると、直径数百m、長さ計測不能の円柱状の空間を無にしてしまう。
(以上、ピクシブ百科事典より)
なんだかもう、おどろおどろしい超科学満載な武器であって、「オラ、ワクワクすっど」感が堪りません。
「BLAME!」は劇場版アニメも作られてまして、わたし、そこでの発砲シーンは観ました。文字起しし難い複雑な発砲音、赤色のぶっといビーム、破壊孔に舞う無数の火の粉。SF銃好きなら、抑えておくこと必須な描写だと思います。

わたしの好みだだ漏れコメントはここまで。
うむ、どれも観てみたい。デッカードがぶっ放しているところを。
注意しないといけないのは、ロイ・バッティに向かって強力すぎる銃を撃つと、ロイが跡形もなく消し飛んでしまうこと。
そうすると、あの感動的な最後の台詞が聞けなくなっちゃう。
ここはデッカードにぐっと堪えてもらって、ロイに対してだけは宝の持ち腐れにしてもらわねば。






さて、わたしが持っているデッカードブラスター、もちろん映画で使われたプロップ・ガンではありません。
じゃあ、出自はどこかと尋ねれば......正解は水鉄砲。
商品名「高木型弐〇壱九式爆水拳銃」。
銃本体はABS製で、商品そのままだと黒の半透明なのですが、マイ・ブラスターはそれに塗装を施して、電飾も仕込んだカスタム品。
世の中には、完璧とも言えるリアルさをもったブラスターのモデルガンもありまして、商品名が「高木型弐〇壱九式爆砕拳銃」。そう、どちらも高木型。造型作家・高木亮介さん入魂のモデルガンがまず開発されて、後にそれを原型にした廉価なおもちゃが作られた。
わたし、時系列を詳しく調べたわけではありませんが、たぶんそういう経緯じゃないかな〜と推察いたします。
水鉄砲の方は中身ほぼ空っぽなので、持ってみるとがっくりするほど軽いし、どこ触ってもぴくりとも動かない。そりゃあ不満はあります。でも、モデルガン一丁に何ヶ月分ものお小遣いを投入するのは、わたしとしてもやっぱハードルが高い。そこそこのお値段で、なかなかのリアルさを持ったデッカードブラスターを手にすることが出来たのは、ラッキーなことだったと思いますね。
水鉄砲化した会社は、「株式会社アルゴ舎」というところ。Fullcockというブランドの商品群の一つとして、デッカードブラスターがラインナップされてます。他にどんな商品があるかいな?と、公式ページを覗いてみれば、オタク驚愕の水鉄砲が並んでました。ここの企画部の人、超頭イカレてるよ(最大級の褒め言葉)。
SF/アクションアニメ好きな人にめっちゃお薦めします。






既にお伝えした通り、今回の衣装はデッカードブラスターを活かす為にチョイスしたもの。
コンセプトは、「クールでいながらワイルドで、セクシーでありフェチであり、サイバーでもありゴシックでもあること」。
適当に言葉並べただけじゃあ無いぞ。これくらいの意味を重ねないと、ブレードランナーの混沌とした世界には馴染まないってこと。
映画の中でデッカードブラスターをぶっ放していた女の人と言えば、みんな大好きレイチェル。でもね、あの髪型や衣装を真似する気にはなれないな。たまたま拾った銃を、切羽詰って撃ったという感じでもあったし。
ブラスターをまっとうに使いこなす役というなら、ここはやはり、レプリカントを解任する特捜刑事でしょう。
Hiromi is a BLADE RUNNER.
このページの中に、映画一作目でのハリソン・フォードさんのスナップショットを真似した写真があるの気付きました?
ところで、女性のブレードランナーって、映画「ブレードランナー」にも、続編の「ブレードランナー2049」にも出てこないのですよねえ。
「もしかして、わたしは史上初のフィメール・ブレードランナーか!?ウヒヒ」
なんて思いつつググってみたら、映画の派生作品として、ビンゴなキャラが出てくるアメコミと小説がありました、ちぇ!
あ、でもわたしって女装さんじゃん。史上初のトランスヴェスタイト・ブレードランナーとは言えるのだろうか。教えて、ブレードランナーの神様。

2022.4.2