さあ、三つ目行きましょう。
今まで、他の装備に隠れて分かり難かったかも知れませんが、こういうの着けてました。
『モサドタイプ・ショルダーホルスター』
イスラエルの諜報機関モサドの局員が使用している、自動拳銃用のホルスターを再現したらしい商品。
他のショルダーホルスターより、肩にかけるベルトが幅広で、全体的にがっしりした作りになっているのが特徴です。拳銃本体のほかに、予備の弾倉を保持できるポケットもあったりします。






だっちゅーの❤
と言いたいところだけど、これは「だっちゅーの」ではないっちゅーの。
ホルスターから抜いた銃をしっかりホールドし、どのような突発的事態にも即応できる柔軟性と緊張感を漂わせる射撃準備態勢なのです。






背中を反らせてお尻をつき出すと、より「だっちゅーの」らしさが増すっちゅーの。
って、しつこいんじゃ!と心の声が。
うちのサイトでこのネタするの何回目だ?三回目かな。フレーズだけ使わせてもらったのを含めると四回目。
それだけ、多感な時期のわたしに、このワードが突き刺さったということです。流行語大賞とったんですぜ、「だっちゅーの」。
若い人は知らんだろーけど。
だいぶ寄り道しました。このページの主役の話です。
わたしのハンドガン・コレクションの中でも特に、精悍さ、武骨さ、頑丈っぽさ、スマートさ等々、色々な要素がうまいことバランスされたモデルであり、メイド服の押しの強さにも負けない存在感がある銃。
それがSIG SAUER SP2340。
(わたしが持っているのは、SP2340を模したKSC社のガスガン)






SIG社製のモデルとしては、これまで自動小銃や小型拳銃を紹介してきました。わたしのお気に入りの銃器メーカーのひとつである訳ですが、今回ここで社名を書く時、ちょっと迷いました。
「KSCの箱にはSIG SAUERって書いてあるけど、単にSIGじゃなかったっけか?」
「事業売却とかいう言葉見かけたことあったな」
「んんん、よーわからんちー」
どうにも記憶が怪しげだったので、いつもの如くググってみました。
1853年 スイスにて、Schweizerische Industrie-Gesellschaft(SIG)社設立。鉄道の客車製造業として創業
1860年 銃器製造開始
1976年 ドイツのザウエル&ゾーン(Sauer & Sohn)社と合併
1985年 アメリカ現地法人SIGARMS設立
2000年 SIG社が銃器製造事業を売却。買収者がSWISS ARMS設立
2007年 SIGARMSをSIG Sauerと改称
製品のブランドは、独自ブランドの「SIG」と、ザウエル&ゾーンと共同開発した「SIG SAUER」があり、さらにアメリカ法人が開発した銃器にも「SIG SAUER」が付けられている、だって。
Wikipediaを見ると、概ね自動拳銃のブランド名は「SIG SAUER」で、小銃は「SIG」でした。これは、ザウエル&ゾーンが拳銃の設計・開発・製造を受け持っていたからですね。
わたしはこれまで、このスイス発祥のメーカーの製品を十把一絡げにシグシグ呼んできたのだけど、わたしのコレクションで言えば、「SIG SG550」「SIG SAUER P230」「SIG SAUER SP2340」なのだね。うむ、またもや賢くなってしまった。と思いつつ、過去にP230を登場させた時のコンテンツを見返してみると、その時点で調べたSIG社の沿革に触れていて、ザウアー&ゾーン社やブランド名、プラスαのことまで書いてあった....ボケてるんやん、わし。






SIG SAUER製品の中で、最初にポリマーフレームを採用したのがSP2340。
大雑把に言えば、銃の下側半分がむちゃくちゃ頑丈で耐久力のあるプラスチックだということです。
金属製フレームと比べて、コストが下がって生産性も向上、軽量化可能、経年劣化にも強く、極端に加熱/冷却されることもない(射手が火傷や凍傷になる危険性が小さくなる)など、多くのメリットがあります。
オーストリアのグロック社が開発したグロック17が、1980年代に公的機関や民間で大ヒットしたのをきっかけにして、90年代に入ると有名どころのメーカーがこぞってポリマーフレームのモデルを世に出しました。S&WとかH&Kとかワルサーとか。
SIG SAUERは割りと後発。SP2340が開発されたのが1998年ですので、グロック17から干支ひと回り以上経ってます。大手だとベレッタも遅かったですね。ポリマーフレーム第一弾の9000Sの発表が2000年。
メーカー名を眺めてみると、金属フレームモデルで確固たる地位を築いてきたメーカーほど、ポリマーフレームには慎重だったように見えます。






少しカメラ位置を下げた一枚。
乳の出っ張り具合がよくわかろうものです。臆面もなく自画自賛しますが、可愛いなかにも凛々しさが漂ってます。
さて、SIG SAUERの自動拳銃には、『P○○○』という名前が振られていました。でもSP2340には先頭に「S」が付いている。
これは今までにない新機軸の拳銃ということを表しつつ、従来製品との混同を防ぐ。つまり主力である金属フレームモデルのブランドイメージに影響を与えたくなかったのかな、と思えます。経営陣の手堅い考え方を感じます。
製品そのものもまた手堅い。撃ち味を重視した結果、グロックと比べると重くて値段も高くなった。外観も凹凸が多くて、従来モデルの面影がちらほら。ポリマーフレームモデルの中では保守的、悪くいえば中途半端というか。
でもね、わたしはSP2340のそういうところが好きですよ。
クラシカルなメイド服には古風さを残した銃が似合う。女装さんっていう中途半端者が持つ、中途半端な銃。
中途半端様々じゃないですか。






SP2340の使用弾は、.40S&Wまたは.357 SIG。
これはアメリカ市場を対象としたものと言われてます。そして、ヨーロッパ向けに9×19mm弾に対応したSP2009/SP2022を展開。
フランスでは国家警察や税関などで、アメリカでも軍の一部に採用されたりして、けっこうな地位を確立した模様。
そしてですよ、ポリマーフレームモデルの洗練と熟成を重ねて、名称も本来の「P」から始まる「P320」として世に出された後継銃が、アメリカ全軍の正式拳銃として採用されたのです。
自社ブランドへの信用を崩すことなく、新世代製品への転換をじっくり段階的に進め、大きな花を咲かせたというね。
”こんなストーリー思い描いてた?SIG SAUERの経営陣の皆さん”と、言いたいです。






弾倉交換しようとしている図。
左手をあてているところに予備の弾倉が入ってます。
弾倉交換する時は、リリースボタンをギュッと押して、空になった弾倉を自重で地面に落とす、という行為をするのが普通ですけども、リビングでそんなことするとフローリングにごっつい傷がついてしまうので、そーっと抜いてTV台の上に置きマッスル。
ちなみに、リビングじゃなくわたしの部屋には、銃を落とした時の傷がクレーターのように。
家売るときのマイナス査定になるだろうなあ。

2013.6.1