「ドレスは女の戦闘服」
昔々、ある本を立ち読みしていて目にとまった言葉です。
言い得て妙だなあと思いましたね。
ドレスを着る女性というのは、誰も皆、何者かとの戦いに赴くのですよ。
披露宴、舞踏会、ピアノやダンスのコンクール、みんな戦いです。色んな国の偉い人たちが集まるような晩餐会なんて、激烈な死闘の場と言えるでしょう。






面白い記事読みましたよ。
”ウェディングドレスを着て歩く時は、爪先でドレスの裾をおもいっきり蹴って一歩出すべし”と、式場のスタッフからアドバイスされた女性が、その通りにしてバージンロードを歩いたそうです。
で、後から友人に、「兵隊みたいだった」と言われたとのこと。
内面だけでなく、外面も戦闘的になるってことです。






おっさんの身でありながら、ウェディングドレスを着た怪しからん奴であるわたしとしては、前述のアドバイスよーくわかります。とにかく歩き難い。ちょっと動くだけで裾踏みまくり。それに、重いしかさばるし、背中のファスナー一人で開け閉め出来ないし。良い事なーし!
両手で裾を持ち上げて歩けるならまだしも、それが出来ない時は、裾を蹴り上げるようにしないと、すぐに転んでしまうでしょう。
写真のドレスは、所謂ウェディングドレスとは言い難いデザインで、裾の前が大きく開いてます。分類するとしたら何だろ。イブニングドレスかな。
なので、脚を蹴り上げる必要はないですね。でも、歩き難いことには変わりません。
上の写真でもわかるでしょ、裾踏んづけてるのが。油断するとすぐにこうなるんです。






ドレスって着心地が良いの?悪いの?どっち?
と聞かれれば、「よかあ〜ないですね」と言っちゃいます。リラックス出来るとか、ホッとするとか、ホワホワ〜ってなるもんじゃあないです。
人がその中に身を置く環境を居住環境とするならば、人が身に纏う衣服(=衣服の中に人がいる)というのも広い意味での居住環境。その着心地が悪いということは、すなわち、居住性が悪いということ。
今までの話を総括すると、”ドレスとは戦闘的であり居住性が悪いものである” と言えましょう。






”戦闘的かつ居住性が悪い” と聞いて、なにか思い浮かんできませんか?
わたしにはすぐにピンときました。
ジョージ6世戴冠記念観艦式に参加した折、イギリスの軍人や記者から、高速・重武装を認められながらも、居住性の悪さを皮肉られたとされる、日本帝国海軍重巡洋艦 「足柄」 です。
知らん!という腑抜けた人は、今すぐググること。
妙高型の三番艦。基準排水量13,000t、20cm連装砲5基10門、61cm魚雷発射管6基12門,機関130,000馬力、速力35.5kt、パーフェクトだウォルター!
「足柄」は妙高型の一艦なので、彼女への評価はイコール妙高型に対するものです。






さあ、この文章を読んだかたは、今後ドレスを着た貴婦人を見かけたら何と声をかけるかわかりますね。

「足柄ですか」

「妙高ですか」 でも可とします。

重要なのは漢字であること。
「あしがら」とか、「みょうこう」とかにしちゃうと、これらは海上自衛隊の現役イージス艦ということになってしまいます。艦齢の若い大型護衛艦の居住性は、どう考えてもそれなりのものであろうもんですから、いまいちドレスにはそぐわない。
ひらがなは却下です。
貴婦人には漢字で話しかけてください。

2012.7.21